研究実績一覧
大麦若葉エキスに関する過去の研究実績の一覧です。
大麦若葉の青汁成分の研究(第56報) 大麦若葉から分離したルトナリンの抗酸化作用
「日本薬学会 第129年会(2009)
大麦若葉に含まれるフラボノイド「ルトナリン」は、DPPHラジカルやスーパーオキサイド・アニオンの消去、各種ビタミンの光酸化抑制において強い抗酸化作用を示した。
○上山英夫(1)、青塚康幸(1)、大川雅史(2)、筌口桃江(1)、帆足和憲(1)、小倉洋子(1)、金城順英(2)
(1:日本薬品開発、2:福岡大学)
【目的】
大麦(Horidium vulgare L. var. nudum Hook)は食料資源として各国で栽培され、種子に関する研究は多く見受けられるが、大麦葉に関する研究は少ない。大麦若葉の搾汁液から製造される青汁粉末は保存性と品質に優れ、各種の生理機能物質を含み、本研究においては、そのうちの注目すべき成分としてフラボノイドを取り上げた。大麦葉のフラボノイドはサポナリン、ルトナリンおよびその誘導体を主体とするが、ルトナリンの植物体における役割は酸素ラジカルの消去と推察されたが(1)、ルトナリンの既知物質に対する抗酸化作用についての報告は見受けられない。本報告においては、in vitroにおけるその抗酸化作用を報告する。
【方法】
大麦若葉の青汁成分のn-ヘキサン不溶性画分を80%エタノール水溶液により抽出して得た画分をAmberliteXAD-2に吸着させた後、H2O-メタノール系により分画を行い、Fenton反応の強い画分を調製した。本画分をAmberliteXAD-2による再クロマトグラフィ-により30%メタノール水溶液による溶出画分を分画し、再結晶を繰り返して微黄色結晶を得た。得られた結晶を質量分析、1H-NMR、13H-NMR等により構造を決定した。抗酸化活性は前報に準じて測定した(2)。
【結果及び考察】
大麦若葉から分画した精製標品はルトナリンであった。ルトナリンのPMS-NADH系およびDPPH系に対する作用をサポナリンその他のフラボノイドと比較するとき、カテコール構造が活性発現に必須であった。ルトナリンのFenton反応に対する抑制が観察された。ルトナリンは水溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミンの光酸化に対して強い抗酸化活性を示した。
(1) Schmitz-Hoerner,R., Weissenbock,G. : Phytochemistry,64,243-255(2003)
(2) Ohkawa,M.et al.: Chem. Pharm. Bull.,46,1887-1890(1998)