研究実績一覧
大麦若葉エキスに関する過去の研究実績の一覧です。
南米原産ハーブCyclolepis genistoides D. Don(パロアッスル)は脂肪細胞におけるUCP1機能を高める
「第88回日本薬理学会年会(2015)」
マウス前駆脂肪細胞にパロアッスルを作用させたところ、UCP1 mRNAの発現2倍に上昇させた。UCP1は熱産生を行う褐色脂肪組織にのみ発現しているので、UCP1を誘導できるパロアッスルには抗肥満効果が期待できる。
佐藤 洋美:1, 木村 友紀:1, 住友 麻衣:1, 船木 麻美:1, 吉田 博也:2, 深田 秀樹:3, 上野 光一:4, 山浦 克典:1, 樋坂 章博:1
1:千葉大院・薬・高齢者薬剤学, 2:(株)IHM, 3:日本薬品開発(株), 4:千葉大・予防医学センター
Cyclolepis genistoides D. Don(一般名palo azul; palo)の抽出物は、パラグアイと日本で肥満や糖尿病を含むさまざまな疾患に使用されている伝統的な薬である。 この研究では、paloの抗肥満活性を明らかにするために、UCP1機能が調査された。UCP1は、ミトコンドリアの内膜を解除して余分なカロリーを燃焼させる役割を果たす。3T3‒L1 マウス前脂肪細胞(白色脂肪組織由来)またはラット褐色脂肪細胞を成熟脂肪細胞に分化させ、続いて palo の処理を 7 日間実施した。 200 μg/mL の Palo は、UCP1 mRNA を 2 倍に有意に増加させた。 次に、褐色脂肪細胞のミトコンドリア膜電位を示す JC‒1 染色を使用して、UCP1 の機能を調べた。 200 μg/mL の palo は、無傷の細胞と比較して電位を大幅に減少させた。これは、palo が UCP1 に次いでミトコンドリアに作用したことを示唆している。UCP1は、β3アドレナリン受容体(β3AR)の刺激によって増加することが知られている。しかし、シグナル伝達は、palo と β3-AR アンタゴニストの併用治療では膜電位の変化はみられなかった。総じて研究結果は、palo が β3-AR シグナル伝達ではなく未知のメカニズムを通じて、抗肥満効果に寄与する可能性がある UCP1 機能を促進することを示唆している。